鉛の弾に蝶の翅

Despite all my rage I'm still just rat in a cage

【アルバムレビュー 第1回】Mansun - Six

ブログ更新コンスタントにもうちょっと頑張りたい。

ということで好きな音楽のレビュー、というのを試みてみます。

第1回はイギリスのバンドMansunのセカンドアルバム、Sixをやります。

とある音楽レビューサイトで知ったこのアルバム、今でもかなりのお気に入りです。

 

この作品の何がすごいか、まずギターが非常に凝っています。フィルター、ハーモナイザー、モジュレーション系、多彩なエフェクトを駆使したある種「SE的」な、不思議なギターの音が随所にコラージュのように散りばめられていて、すごく独特な音像になっています。普通だったらシンセでやりそうなところにもエフェクトかけたギターを用いて音を重ねているので、やっぱりギターが目立つんですよね。ただ、過剰な感じはしなくて、ちゃんとマンサン独自の音楽として上手く機能してるのがすごいと思います。ポール・ドレイパーのクリーンな声質も良いですね。この音に合うのはこのボーカルしかない、といった感じで、すごく音楽にマッチしています。対してリズム隊は裏方に徹してますね。ドラムもベースもちゃんと聴こえるんですが、音は大きくなくて控えめです。で、アンサンブル全体の印象としては、複雑なんだけどクドくない。絶妙なバランスです。

要するによくあるバンドサウンドとは違って、とにかくギターのレイヤーを重ねて音を作っていく、というやり方がこの作品ではとられてるわけなんですけど、このスタイルが、ある特定の曲じゃなくてアルバム全編通して徹底されているので、非常に統一感があると思います。コンセプトアルバム的というかかなりはっきりとしたビジョンが先にあって、それに沿ってアルバムを作っていったことは間違いないと思います。

少し前に2001年3月号のギターマガジンをブックオフで手に入れたんですけど、それにマンサン来日公演のときの機材レポートが載ってたんですよ。それでエフェクターが、ペダル数個に加えてラックタイプのやつがいくつも積まれていて、ああやっぱりこだわってるんだなと。

音源の雰囲気をライブでもちゃんと再現するためにはこのくらいの機材が必要だよな、と納得しました。

アルバムの話に戻りますけど、この作品、構成もかなり独特です。長尺の曲のなかで、テンポや雰囲気が唐突に変わる、というのが何度もあるんですよね。これが前述の不思議なギターサウンドともあいまって本当に引きこまれるんですよ。

ただ、これもやっぱり独りよがりにはなっていなくて、まず大前提として曲が良い!  どの曲にも胸を刺す切ないポップネスがちゃんとあって、その上でひねりを加えてるって感じなので、聴いてて飽きることがないんです。

ウィキペディアの作品ページには「プログレ的」と書かれてますけど、ただそれだけじゃない。本当に緻密な音作り、曲作りだと思います。

特に好きな曲は "Anti Everything" "Legacy" "Being A Girl" とかですかね。Legacyのイントロのアルペジオは一度聴いたら忘れられない、胸を締め付けるセンチメンタルキラーフレーズです。Being A Girlの後半からのギターもフワフワキラキラしてて大変美しい……。

 

そして、マンサンの音楽についてもうひとつ言っておきたいのがやはり「歌詞の暗さ」。表題曲 "Six" の和訳をじっくりやってみたことがあるんですけど、本当に後ろ向きの内容で「いいなぁ」と思いましたね。

歌詞が暗いロックは個人的に好きなんです。アジカンの『ファンクラブ』とかね。歌詞が暗い、ということが良いロックの条件である、とまで思ってる節があるくらいです。

精神的にまいってるとき、歌詞に影のある音楽を聴くと、自分のネガティヴな心情にその音楽がうまいことリンクしてすごく救われる感じがするんですよ。慰められるというか、心が浄化されるというか。

ロックってそもそも人間の内面にある怒りとか悲しみとか、ドロドロしたものを吐き出して作り上げる音楽だと思うので、本質的に陰性を帯びたものであるべきなんですよ。少なくとも僕は、ロックのそういう部分に魅力を感じて、のめり込んで色々聴き漁ってるわけなので。

音楽の聴き方も色々ありますが「孤独に聴く」ということはとても大切だと思います。フェスでワイワイ盛り上がるのはもちろん楽しいですが、家で一人でヘッドホンつけてじっくり音楽に向き合う聴き方こそがなんとなく「正しい」ような気がしています。

少し脱線してしまいましたが、とにかくマンサンのこのアルバム、魅力を一言で表すなら「緻密なギターサウンドと暗くて切ないポップネス」ですね。

というわけでアルバムレビューしてみました。

そもそも今日は朝4時半くらいに目が覚めてしまって、あまりにも早起きすぎたんだけど二度寝しようにもなかなか寝付けないのでとりあえず部屋の電気は消したまま目を閉じてマンサンを聴いていて、あーやっぱりこのアルバムは素晴らしいな、と思ってるうちにその気持ちを文章にしたくなって、それでこれを書き始めたという経緯がありました。まあいいや。今回の記事はここまで。以上!