鉛の弾に蝶の翅

音楽好きによる雑記ブログ

キンモクセイ復活ライブの動画

 

ちょっと放置するとあっという間に1ヶ月くらい空いてしまいますね、記事更新。コンスタントに書いていくには「毎日更新!」くらいの気持ちでやらないとダメかもな。まあとりあえず月二回くらいを目標にぼちぼちやっていこう。

 

で、ブログ更新の話は置いといて、キンモクセイです。10月に相模原のイベントで復活ライブをやったらしく、動画がYouTubeに上がってました。


キンモクセイ Live【完全版】さがみはらフェスタ2018

ほんとは動画見てすぐ感想書こうと思ったんですけど、やはりなんとなく放置してしまって結局もう12月になってしまいやや旬を逃した感はありますね。まあいいや。書きたいことは書こう。

 

 

あ、動画のことに触れる前に言っておくと、僕はそもそもキンモクセイの「ファン」ではない、と思います。でも、「二人のアカボシ」は僕が小学生の頃すごく流行ったし、毎週観ていた「あたしンち」のOPもキンモクセイだったし、CMソングなんかも当時やってたと記憶してるので、幼少期の思い出の中にキンモクセイの曲って、結構染みついているわけです。

 

特に追っかけていたわけじゃなくても、曲はちょっと知ってる。そんな感じです。ぶっちゃけニワカですすいません。

ニワカなんですけど、でも数年前に「二人のアカボシ」を偶然久々に聴いて、めっちゃくちゃいい曲だなぁと思ってから、ニワカなりにキンモクセイは「思い出のバンド」として忘れないようにしよう、という意識はずっとあって。あたしンちの「さらば」も、僕の弾き語り曲のレパートリーになっているし。

そんな感じで同世代の知り合いと「キンモクセイいいよね」みたいなことを度々話していた今日この頃、その知り合いからこの動画URLが送られてきて、で見たらめっちゃくちゃ良くて本当に感動したんで、ブログに書こうと思ったわけです。前置き長いなぁ。

 

この動画、多分キンモクセイファンの人が復活ライブ観にいって撮ったものだと思うんですけど、歌詞とか曲名とかすごく丁寧にテロップ編集されててまずそこに愛を感じるわけですよ(撮影許可したキンモクセイも素晴らしい)。

で肝心の演奏も最高ですよ。伊藤さんの歌唱力はまったく衰えてないし、後藤さんのスライドギターは絶品の一言につきます。バンドの円熟味っていうんでしょうか、本当に上手いし、気持ちいい。そもそもキンモクセイの音楽性って職人肌というか、初期衝動的なものとは距離を置いて、上品なポップセンスあふれる曲を高度な演奏技術で聴かせるタイプなので、歳を重ねるってことがちゃんとプラスになるんですよね。

 

そして、そしてです。僕が感動したのはライブ演奏そのものだけじゃなくて、「10年の時を経て、全員参加で地元で復活ライブをすることができた」っていう、その、バンドの再始動っていうハッピーな瞬間のハッピーさに、なにより感動したわけです。

動画の中で、1曲めの後のMC(12:30辺りから)で、伊藤さんが「心のスケジュール」っていう言葉を使ってバンドの復活の経緯を語ってますけど、これほんといい言葉。多分10年前、活動休止に至るまでには本当に色んな葛藤とか、苦悩とかあったと思います。バンドが続けられないってこと、それにはもうのっぴきならない理由が確かにあったはずで、それでも活動休止後もメンバーそれぞれが音楽は辞めないでいた、そして10年経ってようやく「心のスケジュール」に余裕ができて、キンモクセイとして本当の意味で復活した、ってことですよね。

単に仕事のスケジュールでいえば、きっとメンバー同士集まれる機会はあったはずなんです。でも「心のスケジュール」はそれを許してくれなくて、みんなで熟考を重ねて「よし、やろう」ってなるまでに、10年必要だったんですよね(2011年には例外的に一時再結成をしているようですが)。

この感じは、僕もバンドやってた身としてすごくよくわかる。当たり前ですがバンドやる人はみんなバンドが好きで、音楽が好きで、バンドやるんです。でも同時に、好きだからこそうまくいかないとか、人間関係のこととか、どうしようもないこともあるわけで。しかもキンモクセイはプロのミュージシャンで、プロゆえの苦しみとかも絶対にあったはずで、そこはもう僕なんぞの想像の及ぶところではないですよ。

 

とにかく「バンド」ってモノの難しさ、悲しさ、尊さ、楽しさ、美しさ、そういうものが全部、この動画に凝縮されていると思います。

彼らキンモクセイが「なんだかんだあったけど、時間もかかったけど、やっぱりキンモクセイが好きだ」と思えたこと、そして復活して最高の演奏ができたことに、拍手を送りたいと思います。もっといえば、最高の舞台を用意して復活の後押しをしてくれた彼らのホームタウン相模原も素晴らしいし、ライブを観に駆けつけたファンや地元相模原の人達もあったかいし、もう全てがハッピーすぎる。

 

あと、動画のコメント欄にもすごくいい言葉があったので引用します。

「バンドなんてやれ活動休止だ解散だってわざわざ仰々しくアナウンスしなくても、こういう感じに定期的にフラッと集まってやってくれればいいんだよな」

本当にその通りだと思います。この言葉は全ての悩めるバンドマンと、そのファンにとっての救いになる言葉です。

バンド内の人間関係やミュージシャンとしての義務感、ファンからの期待、色んなものがプレッシャーになって苦しんで、結果音楽を続けられなくなる人はたくさんいると思います。バンドの解散や活動休止はファンにとっても苦しいことです。でも、音楽なんて結局楽しめればなんだっていいんです。ミュージシャンは無理のない範囲で音楽と向き合って、できそうならライブをやればいい。「もうダメだ」になる前に、ちょっと距離を置けばいい。ファンも慌てず騒がず、気長に活動の成り行きを見守ればいいんです。好きなものを嫌いになる必要なんて、どこにも無いんです。

もちろんこれはある種理想論で、売れてるバンドであればあるほどビジネスとしてカッチリとバンドを動かしていく必要があるのは事実でしょう。でも音楽のあり方として、やる側、聴く側、みんなが楽しくいられるためにはどうするかってことを考えたときに、「マイペース」てのは大切なポイントだと思います。

そして、この復活ライブで「今後の予定はまだ決まってません。でも曲はできてますよ」とみんなの前で言うことができたキンモクセイは偉大です。肩の力を抜いてニュートラルに、なおかつ前向きに、メンバー全員が「キンモクセイ」と向き合えている証拠だと思います。

復活ライブのラストソングは「さらば」でした。懐かしくてあったかいこの曲の歌詞を噛み締めながら、この記事を書き終えたいと思います。

こんにちは ありがとう さよなら また逢いましょう

うってつけの言葉は無いけど

帰ろう 帰ろう 帰ろうよ 家まで