鉛の弾に蝶の翅

音楽好きによる雑記ブログ

Fender Toronadoの謎を追う【黎明編】

 

※下にリンクした記事では、トルネードの各シリーズごとのスペックを写真付きでざっくりまとめています。少なくともウィキペディアよりは分かりやすく整理されていると思います。

参考にさせていただいたサイトのリンクもそちらに貼りました。

Fender Toronadoの謎を追う 【望郷編】 - 鉛の弾に蝶の翅


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フェンダー社の作ったギターにToronado(トルネード)というモデルがある。

2000年代頃の短い間だけ生産されていたマイナーなモデルなのだが、地味に人気があるのかSquierブランドから2020年に復刻されている。

「地味に人気があるのか」とか他人事みたいに書いたけど何を隠そう僕もその当事者、地味なトルネードファンである。

最近、地味にこのSquier版トルネードを入手してしまったので、気になって色々調べていた。

だが、このモデルに関して体系的にまとまった情報がネット上にはほとんど無い。

 

 


「トルネード」というギターには複数のモデル、というか仕様が存在する。

ぱっと見で分かりやすいのはピックガードの大きさだ。これが大きいもの(ラージガード)は初期型、小さいもの(スモールガード)はリイシューの後期型モデル、というざっくりした情報は多分誰でも知っていると思う。

 


しかしネットで古いトルネードの画像を調べていると、モノによってピックガード以外にもたくさんの相違点がある。

生産完了までの数年間で、シリーズやグレードによって特徴の違うトルネードがいくつも作られていたことは明らかだ。

 


にも関わらず、具体的なシリーズ名と製造時期を紐付けて細かく仕様の違いを説明しているような情報源がない。

ウィキペディアの記事もあるにはあるのだが、英語版の記事をエキサイト翻訳にかけただけみたいなクソ日本語で非常に読みにくい(英語版の内容丸写しというわけでもなく、不足箇所もあるのがまた……)。情報も整理されておらず、本当に役に立たない。

ギター博士にもトルネードの個別ページはあるにはあるものの詳しい解説は無い。また、英語版ウィキペディアでの説明と矛盾する情報が書かれており信憑性に欠ける。

 


これらのサイトを見て分かるのは、結局「製造年代やシリーズによって仕様が全く異なる」ということだけ。そんなこともう知っとるんじゃ!

要するに「ちょっと調べれば分かること」以上の情報になかなか辿り着けないのだ。

トルネードがどの年にどのシリーズから出ていて、それぞれ製造国や仕様がどう違うか、ということが書かれている日本語のサイトはほぼ無いと言っていいだろう。

 


あまりの情報の薄さにムカついたので、画像検索を駆使して根気強く調べてみた。

海外のページを中心に色んなワードを試していると、2TU GUITARSというサイトが出てきた。

どうやらイギリスのギターマニアが運営する個人サイトのようだ。

サイト内コンテンツの他、リンクされているYouTubeチャンネルやInstagramを見ると、相当な数のフェンダーをコレクションしている模様。このサイト主なら、少なくとも僕を含めたその辺の有象無象よりははるかにギターに詳しいはずだ。なのでこのサイトに書かれていることもある程度信頼していいだろう。

 


2TU GUITARSでの解説を大体まとめると、

最初のトルネードは1998年にメキシコ製のDeluxe シリーズとして作られ始めて、2003年に一度生産完了。

それとは別に2002年から2004年までの間、USA製のAmerican SpecialシリーズとHighway Oneシリーズが生産されている。さらにDeluxeシリーズは04年にリイシューとして復活して2006年まで作られた。

その他ヨーロッパ向け限定生産として韓国で作られたToronado CT P90というのがあったり、2005年にBig Blockシリーズから出たこれも韓国製のToronado GTがある。

そして2020年にはスクワイアからParanormal シリーズで復活。という感じらしい。

あとデザインはマスタービルダーのGeorge Blandaによるものらしい。

 


裏が取れていないので絶対に確かな情報とは断言できないが、オークションサイトやReverb などで見つかる中古モデルの見た目やスペック、年式と照らし合わせても矛盾が無く、割といい線いってるんではなかろうか。

他にも英語圏掲示板やギターショップのホームページなど色々漁って分かったことを統合していくと、少しずつこのギターの全体像が見えてきた。

 


諸々の情報を踏まえると、メインシリーズというか王道のトルネードはやはりメキシコ製Deluxeなんだろうな。

 


スペック的には、02年から出たUSAのシリーズの時点でスモールガードになっていて、PUもオープンタイプだ。

04年以降のリイシュー版Deluxeシリーズも明らかにそれに倣った仕様だから、これはリイシューというよりモデルチェンジに近いんじゃないかと個人的には思う。再生産という意味ではリイシューなんだけど。

前年までのモデルをリフレッシュして、USAのシリーズと同じ仕様で改めて生産します、ていうことだったんだろう。

 


なかなか奥が深いな、トルネード。

 


というわけで、次の記事では各シリーズ毎の特徴をスペック表的にまとめておりますので。