ギターソロは不要なのか〜〜〜〜!!!!!!????!!???
YouTubeに動画を投稿するギタリストで西尾知矢さんという人がいる。
ギター系YouTuberって胡散臭いのが多いから僕はそんなに深掘りして観たりはしないのだが、この西尾さんは良くも悪くもざっくばらんというか何も考えてなさそう(失礼)な感じで、それでいて演奏技術は一流なので、その人柄とテクニックに惹かれてよく動画を観ている。
西尾さんが先日アップした動画は「ギターソロ不要論」について語る内容のものだった。
ギターは今どき流行らない、ロックはオワコン、みたいな風潮はここ最近たしかにあるような気がするし、その事については前から自分なりに色々考えてたので、これを機にブログに書くことにした。
で、「ギターソロは必要か」という問題と、それにくっついてくる「エレキギターなんて時代遅れ?」的な言説についてだが、
個人的な考えでは、ギターソロは必要かどうかで言えば必要ではないけど、かといってギターが無用の長物だとも思わないし、いわゆるロックスピリットみたいなものが死んだとも思わない。
最近は楽器のソロパート自体がリスナーからすると退屈なものとして忌避されていて、ギターソロを耳にする機会も減った、みたいな主旨のことが動画の中で語られていた。
僕としては、それは単にいま現在のトレンドがそうなっているだけなんだな、としか思わない。
ギターソロそのものに関しては適材適所だろうし、ソロパートについての考えとかはいろんなアーティストのいろんな音楽性とか美意識の話でしかないから多様な在り方があって然るべきで、「めちゃくちゃ上手いプレイヤーがめちゃくちゃ目立つための音楽」が流行ってた時期の方がむしろ異常だとすら思う。
音楽の中でギターだけが派手に主張する様式美があって、それをありがたがって聴くのもギター弾く人だけ、てのはやっぱりイビツな感じがする。
それを踏まえたら、ギター主体の音楽が昔ほど人気を集めていない今の状況は、エレキギターという楽器が「カリスマプレイヤーが超絶技巧を披露するためのマシン」から単に「音楽を作る/奏でるための道具」に変化した結果、もたらされたものとも考えられる。
それって言ってみれば成熟なわけで、「派手なギターソロが聴けない」という部分のみを見て「ギターは廃れた」という論理に持っていくのはちょっと無理があると思う。
音楽の中におけるギタープレイのあり方としては、トム・ミッシュがすごく良い方向性を示してくれていると感じる。
SNS発、ネオソウル系のギタリスト/コンポーザーとして半端ない支持を受けているトム・ミッシュ。
↓の動画はTiny Desk Concert のやつ。
彼の凄いところは、単純に曲が良くて普通の聴き専の音楽好きが聴いても「めっちゃかっこいい!」と感じるような作品をつくっていることに加えて、ギターを弾く人間の目線で聴いても、ヒップホップとかソウル由来の(ともすれば身体性が希薄になりそうな性質の)音楽の中で生ギターをこんな風にカッコよくオシャレに使うんだ!という面白味があるところ。当然、ギタープレイ自体もむちゃくちゃ上手い。
要するにセンスとテクニックを高いレベルで両立することによって彼は聴き専・プレイヤー双方の人種に刺さる音楽を生み出し演奏していて、それが故に人気なのだというのが僕の持論。
トム・ミッシュのギターは音楽の中に調和した、普遍性のあるギターだ。激しく主張するわけではないけど脇役扱いでもなく、間違いなくギターとしてかっこいいフレーズを弾いていて、その絶妙なさじ加減に耳を奪われる、そういうギターだ。
で、そういうプレイが支持されているということはつまり「ギタリストがギタリストに向けて弾いているギタリスト的なギター」はもう求められてないってことで、その意味で「ギターは廃れた」とは言えるのかもしれない。ギターは皆のものになったってことか。
個人的には、音楽の中であくまでパーツとして扱われるようなギターも、ソロと同じくらいかっこいいし面白いと思いますけどね。
花形楽器として注目を集めることが無くなってきたとはいえ、エレキギターの可能性にはまだ先があると思うし、今の状況をあまり嘆く必要は無いんじゃないだろうか。
というか、テクニカル志向に関して言えばCHONやポリフィアみたいにギターが目立つバンドがいてちゃんと人気があるし、ギターロック的な音楽も時流に関係なくこだわってやってる人たちがいる。
世界のトレンドからは切り離されていても、そういうシーンって数あるジャンルの中のひとつとして絶対に存在し続けるはずだし、むしろトレンドから切り離されているからこそ意味があるはずだ。
なんか書いてる途中で何が言いたいのか自分でも分からなくなってイマイチまとまらくなってしまった。
とにかく、ギターソロという様式がかつてほど求められなくなったとしても、現代においてもエレキギターという楽器の良さみたいなものは失われていないと思うよ、ということが書きたかったです。
ひとことで言うと、トム・ミッシュすごい。